2009年2月11日水曜日

さびしさの視覚化


張り巡らされた電線。
後ろに見えるJR湖西線。
その下をくぐるアスファルト。

人が繋がりを、伝達の力と速さを求めた結果の光景が、湖岸にあった。


さびしさの視覚化

この写真。
琵琶湖を一周歩いたときのものだ。
道路をまたぐ鳥居と取り巻く電線を珍しく思い、何気なく湖西で撮ったもの。

旅から1ヶ月ほど経ったある日、瀬田エクスプレス2回目の写真展を開くことになり、写真を選んでいた。
「滋賀のキレイな写真を飾るのは前回やったから、同じ滋賀の写真でも、今回はちょっとメッセージを込めたいなあ」。
そんな想いから、PCに入れた写真をあたっていたところ、何気なく撮ったこの写真が急に面白く思えてきたのだった。
人間のさびしさを表すように、縦横に走る線。
決して意図したものではなかったのだが。


写真展には「さびしさの視覚化」というタイトルで展示。
写真家の東松照明が語った「さびしさの思想化」をもじったものだった。
このときはまだ、単にそれだけで深くは考えていなかったのだが…。

さびしさの思想化。
自分たちがやってきた、書き、撮ってきたことも、もしかしたらそれに近いことなのではないか。
思想とまでは届かないかもしれないが、文字と写真での身近なものの視覚化は、ひょっとしたら…。

実際、このブログに一度でも投稿したことのあるメンバーは、みんな下宿生。
離れた土地から移り住んで、一人ぼっちから関係を作りはじめていく。
大学生活の4年間、さびしさは常に付きまとう。
この「さびしさ」こそが、表現の原動力ではなかっただろうか。

こう考えたときに、妙に納得がいったのだった。


偶然か、琵琶湖一周の旅が撮らせてくれた一枚。
自分にとっては、色んな発見があった一枚だったように思う。

参考:
東松 照明 | Fotonoma The Photographer
http://fotonoma.jp/photographer/2004_04tomatsu/index.html


カメラ:NIKON D40
使用レンズ:18.0mm - 55.0mm (F3.5 - 5.6)
焦点距離:38.0 mm
絞り:F8.0
シャッタースピード: 1/4000 秒
ISO感度:200
CaptureNXで調整

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