2009年10月19日月曜日
竜王戦二日目、終局まで
渡辺が△4五玉とした局面で、福崎九段、杉本七段が登場。
藤井「じゃあ二人も壇上に上がって戴いて。大乱闘しますか!控え室の検討を教えてください。」
杉本「渡辺竜王が僅かに残しているというのが控え室の研究です。▲3四角に△4四玉で。」
藤井「ほう。ちょっと並べてみましょうか。」
(藤井と杉本が継ぎ盤を動かす。先手を藤井が持ち、後手を杉本が持つ。しばらく進んで、先手の勝ち筋に。)
杉本「あ~なるほど!これはありますね。」
藤井「(ファンに向かって)みなさん、控え室の研究を上回りました!」
杉本「ちょっと待ってください。ここでこうやったらどうですか?」
(再び継ぎ盤が動かされる。今度は後手の勝ち筋に。)
藤井「・・・・。」
杉本「藤井さんの研究を上回りました!」場内が笑いに包まれる。
藤井「相当難解な局面だということですね。」
杉本「そうですね。何が起きてもおかしくない。」
福崎「で、どっちがいいの?」
藤井「わかりません(笑)」
福崎「これだけ喋ってわからんのかいな(笑)」
103手目、森内の▲7一馬とした手は、力のない手つきだった。
検討では▲5五角や▲4五金が予想されていたが、
福崎「これは△6二桂馬の一手。」
藤井「森内さん、諦めている様にも見えますね。死んだフリかなぁ?森内さんは以前、杉本さんと対局したときに、途中千日手含みの時間稼ぎ王手があって、秒読みで反則が無かったか、記録用紙確認してたくらい諦めが悪い人なんですよ。それがこうなるとは、渡辺竜王恐るべし。」
杉本「あの時はちょっとヒヤッとしました(笑)。しかしまだ諦める局面ではないと思います。」
森内、一本指で▲8二馬と指す。
福崎「森内さんに生気がないように見えます」
藤井「諦めてはいけません。僕のときはそんなことないのになぁ。信用が違うのかなぁ(笑)」
ところが、この局面で渡辺の玉に詰み筋があることが判明。森内の玉は際どく詰まないようだ。(局後の検討によれば、渡辺は攻めながら自分の玉を安全にする絶妙手があったのだが、実戦では指されず)
福崎「渡辺さんヤバイですよ」
渡辺、ここで持ち時間を使いきり、一分将棋へ。秒に追われ、頭を抱えながら△4三銀。予定変更が丸わかりで、会場からもどよめきが起きた。
藤井「これは・・・感想戦が長くなりそうです。福崎先生、終わりの合図は先生がお願いしますね。」
福崎「対局者はいつまでも感想戦やりたがるけどね。仕方が無い」
藤井「先手に大チャンスが来ました。チャンスボールです。」
杉本「狙いすぎて空振りすることも多いのですが。▲4二飛車でしょう。」
森内、今度はしっかりとした手つきで▲4二飛車。未だに優劣不明。
渡辺、さらに守りの△5二銀。ここで森内も一分将棋へ。時間ギリギリまで考えて、一本指で▲7一馬と指す。
藤井「金を渡すと先手は危ないんですよ。」
渡辺は△3三玉と指した。これで飛車が詰んでいて、助けるには金を投入するしかない。
福崎「英語で言うと、ワンダフルな手やね。」
どうやらここで後手がはっきり勝ちになったようだ。以下は手順を見守るだけ。鮮やかな手順で、渡辺が勝利を収めた。投了の一手前、森内が声を枯らさぬように、水を含んだのが印象的だった。
しばらく感動の余韻に浸っていた福崎九段と藤井九段だったが、立会いの仕事のために慌てて対局室へ向かう。
終局後、杉本七段に話を聞いた。
shu-ji「すごい将棋でした。渡辺竜王にとっては、後手番での勝利は大きいと思いますが。」
杉本「それもそうですが、この内容で勝った事は大きいと思いますよ。この競り合いを制したのは大きい」
shu-ji「7番勝負は渡辺竜王優位になりましたか?」
杉本「まだなんともいえませんが、今日の将棋を見る限りではそうですね。」
こうして、比叡山延暦寺での竜王戦第一局は幕を閉じた。歴史に残る、名勝負だった。
現地解説に行って感じたことは、WEBの生中継では感じられないものがあったということ。モニターから感じる対局者の雰囲気とプロの解説は、自宅では味わえないだろう。今回は場所が比叡山で観戦者が少なく、ゆったりと観戦できたこともこの満足感につながったと思う。
前夜祭に行って、福崎九段、藤井九段のインタビュー記事を掲載したところ、思いのほか反響があったので、二日目の勝負どころも詳細に記してみることにしたが、いかがだっただろうか。今後も滋賀県で将棋のイベントがあれば、こうして記事にしていきたいと思います。ありがとうございました。
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1 件のコメント:
私との対局がまだでしたね。
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