昼食休憩が終わった13時30分、渡辺はまだ指さず、前傾姿勢で考え続けている。一方の森内は背筋を伸ばし、盤面を見つめている。竜王が苦しいのか。
20分ほど考えた渡辺の指し手は△7四歩。何とも大胆な手で、▲4四歩から潰されるんじゃないかと考えられたため、深く検討されていなかった。
ここで立会人の福崎九段、藤井九段が壇上へ上がり、大盤解説が始まった。△7四歩はさすが森内も予想外だったか、指す気配がないので、ここで次の一手クイズが出題されることになった。候補は福崎推奨の▲4四歩、藤井推奨の▲2四歩、そしてその他。藤井ファンの私、2四歩に乗るも、森内の指し手は▲4四歩となり、記念扇子のプレゼントを逃してしまった。
当然の△4二金と引いた渡辺に対し、再び森内が考え始めたために、この局面が深く検討されることになった。
福崎「森内九段も前傾姿勢になってきました。まるでカルタ取り名人戦のようです。」
藤井「ずっと先手がいいと思っていたのですが、渡辺竜王の△7四歩が好手でした。後手も相当やれそうです。▲4五銀に△5三銀だと▲5四銀と引いて、4五桂馬を見せる手はどうでしょうか」
福崎「一回出た銀をすぐ引く!さすが日本に10人しかいないA級プロ。そこらにいるC級とは違いますね。これが藤井システムですか。」
藤井「藤井システムではありません(笑)私は藤井システムで勝ってましたけど、その分負けてもいるんですよ。例えば羽生さんなんか、あの人はほとんど負けないじゃないですか。藤井システムで一番勝率がいいのは羽生さんじゃないですか?人のフンドシで・・・」
福崎「ずっと前に羽生さんに終盤で逆転負けしたんですけど、その時は羽生さんの角が3枚ありました。羽生マジックの正体はこれです。ズルいです(笑)。でもホントは角がよく効いて、三枚に見えただけでした(笑)」
福崎「ところで竜王戦は多額の、見たこともないような賞金が懸かってますよね。元竜王だった藤井さん、賞金は一枚一枚数えました?」
藤井「いや、数えてません(笑)」
福崎「今日のスーツはいくら?」
藤井「これは嫁が買ってきたので、わかりません。でも最近、知らない内に嫁の服が増えてるんですよ。」
NHKの人「リハの時間が近づいてきました。そろそろまとめをお願いします。」
藤井「NHKの生中継に呼ばれるかも知れないので、難しくない程度の名局になって欲しいですね(笑)」
0 件のコメント:
コメントを投稿